持続可能型社会

ダマヌールは、イタリア北部ピエモンテ州、アルプスの麓にあたるバルキュウゼラに位置し、トリノの街からは50kmのところにあ ります。現在、連合体に属するコミュニティーは、バルキュウゼラ谷の広がりのある範囲に分散しています。森と宅地として開拓した部分、果樹などが栽培でき る土地、その他、プライベートで所有している建物、芸術のアトリエ、工房、農場などがあります。

創設当初から、廃物のリサイクル、オーガニックな農業、生態系と調和のある生活方法、地球を未来に向けて維持できうるエコロジカ ルな生活方法を創造し、実践しています。ダマヌールの人々は、地球は尊敬され、保護されるべき生き物だと思っています。このことは、ダマヌールが所有する 会社の製品の品質や、市民の環境やあらゆる生き物に対する配慮に現れています。

ダマヌールは、過去何年間にもわたり、ひどい扱われ方をしてきた何千ヘクタールという森の再生に尽くしてきました。植物と動物の 世界と自然の神々との調和がとれた森林地帯を再生していくために徐々に森を獲得して、重要な資源についての調査をしました。この領地の中心となるのが「聖 なる森」であり、ちょうど、人類の神殿の真上にあたります。


理想の社会モデル

国際連合のグローバルな人間の共同社会フォーラムより、ダマヌールの連合体およびビダラッコ地域に対し、2005年9月、「グローバルな人間の共同社会フォーラム2005賞」が授与されました。 ダマヌール独自の新しい社会の実現の思想が、地球や世界に対して有意義な貢献であると認められ、 未来に向けて大きな希望と勇気をもたらす出来事となりました。

自給自足

ダマヌールの人々は、この惑星を感覚を持った存在であるとみなし、敬意を払い保護されるべき生きものであると考えています。連合体の敷地を開拓する時も、環境にやさしい開発をしており、この原則は維持しています。

エネルギーの自給自足の達成はダマヌールの最も重要な目的のひとつです。今日、連合体においては、ソーラーパネル設備のおかげ で、バスルームで使う温水の70%; 太陽光発電設備と小型水力タービンを通して、電力の35%; 森林管理から得られる薪によって、薪暖房の90%を自 給しています。

さらに、ダマヌール市民が使う車の35%はバイオディーゼル車(連合体のテリトリー内に給油所があります)、40%は天然ガス車かLPG車です。

ダマヌールクレアは、多機能な生きたラボラトリーです。 アイデアや夢は、芸術作品になり、文化イベント、エコ社会のプロジェクトを形成しています。

有機農業と食物の持続可能性は、ダマヌールの基本的な目的のひとつです。ダマヌールでは、食物やワインを生産し、この谷で生産さ れた有機生産物の協同組合小売センターを始めました。ダマヌールクレアの食料品店「テンタティ」で売られているすべての生産物は、ダマヌール内の分子生物 学研究所の検査によって、遺伝子組換えでないことが確認されています。

ダマヌールクレア

2003年、ダマヌールの首都ダミールに程近いビダラッコにあったオリベッティの工場跡地を買い上げました。 イタリア政府から認証を受けた芸術の学校、さまざまな芸術の工房、会議に利用されるホール、また日用品を扱うマーケットやブティック、予約制のマッサージ ルームも開設されています。

また、クレアの前のエコロジカルな建設によるアパートも分譲されており、ダマヌリアンの家族や高齢の親たちも入居しています。


テンタティー

有機認定商品、非遺伝子組み替え製品を取り扱うスーパーマーケットです。エコロジーを支持し、商業や文化を促進するこの地域で最初のセンターです。食品の多くは、ダマヌールの中で自然の力や環境との調和をもとに生産されています。


種のバンク

生物多様性と自給自足のために播種用の種子を保護するダマヌールの「種の銀行」プロジェクトです。


補完通貨 クレディト

ダマヌールの補完通貨クレジットは、コミュニティー内にとどまらず、周辺地域、また世界の中で、他のコミュニティー(フィンドフォン)にも利用が拡大されています。


植物の音楽

ダマヌールの人々の、自然とより深くコンタクトしたいという願望が「植物のコンサート」を生み出しました。

1976年、ダマヌールの研究者たちは、すでに、植物の葉や表面の電磁気の変化をとらえ、それを音に変換する装置をつくりました。木々は、自らが奏でようとする音楽をあたかも自覚しているように電気反応をコントロールします。

音楽家たちは、木々の奏でるメロディに合わせて演奏します。1976年、植物のコンサートは、定期的にダマヌールで開催されており、国際的なフェスティバルでも紹介されました。フィレンツェの自然科学博物館の協力のもと、興味深い実験が、今なお進行中です。

ダマヌールでは、何年も前から植物の音楽のコンサートを行っています。

ダマヌール日本も、植物の音楽のライブ演奏を、スピリチュアルイベント等に出展した際、また「ダマヌールを知る会」の会場にても披露しています。どうぞ、ご注目ください。

植物の世界

ダマヌールの長年に渡る実験で実証できたことですが、植物は学習能力があり、人間と意思疎通ができる存在です。人間は植物の世界 との共存によって地球上で存続できる存在であり、精神的進化も、彼らとの交流や共生によってはじめて実現できるのです。植物との交流を取り戻すことで、人 間の眠ったままの感覚を目覚めさせることができます。また、植物は集合意識をもち、全体でのコミュニケーション手段によって、あらゆる個体の体験を共有で きる賢い存在です。植物は、人間が忘れてしまった知識や歴史をいつも語り継いでいます。植物の知性に触れ、彼らからのメッセージを深く理解することによっ て、人間が忘れてしまった大切な智恵を取り戻し、植物の世界との調和的関係を取り戻すきっかけになることでしょう。そして、それは人類の進化にとって必要 不可欠なことだと言えるでしょう。


ダマヌールクレア エピソード

ダマヌールクレアについてファルコの言葉

*2004年4月の地元雑誌のインタビュー記事より

80年代初め、私たちは決して新しいとはいえない自動車で、放置されたこの建物の前を通るたびに、「いつかこの建物をもう一度、 蘇らせることができたら」と、夢を描いていました。当時、私たちは、皆が一つになってさまざまな困難に立ち向かう必要がありました。特に、夢を成し遂げる ために昼食と夕食とを兼ねる必要があるほど生活は貧窮していたのです。そんな時を過ごしてきた私たちが、今日、ついに夢をなし遂げることができました。こ の建物を手に入れることは容易ではなかったし、再び使えるように片付け、秩序だてることも容易ではありませんでした。しかし、5月18日には、たとえ、ま だ床が濡れていようとも、オープンして、すべての工房に働く者は、彼らの活動をはじめるでしょう。ひとつの夢が実現したのです。私たちは、アドリアーノ・ オリベッティの理想を実際に具体化することができるでしょう。旧オリベッツティ工場を引き継ぐことは、コミュニティにとって、簡単なことではなく、経済的 な努力を意味しました。テリトリー内に仕事を生み出すプロジェクトへの投資という市民の選択は、団結に基づく経済の実用的な表現として具体的に実現されま した。それは、事業活動の古典的モデルを、職人の協同組合というモデルにかえるというものです。私たちにとって、これは大きな一歩だといえますし、一緒に この谷に生きる人々にも、実際に実りあるものであってほしいと思っています。これは到達点ではなく、さらなるプロジェクトの始まりです。全体にとって役に 立つ作業によって、そのプロジェクトが実現することを強く望んでいます。ダマヌール市民が一番に配慮する事のひとつは、テリトリー内で自身の存在を役立つ ものにすることです。団結という理想に基づいて、多くのプロジェクトを国や地域と一体になって実現しています。赤十字のボランティア活動、森の防火や消防 チーム、自衛団、様々な地方自治体の行政の役割にさえも責任を負っています。私たちは常に、真剣に取りくんでいるのです。これまで、私たちは、新しい共同 生活が始められてコミュニティの領域を補完する時に、当然のように周囲が抱く偏見や警戒心をのりこえなければなりませんでした。私たちの共同生活は、今日 に至るまですでに30年間以上、続いており、他方面からの友情のしるしや評価は日々、大きくなっています。政界の要人も、ダマヌールを訪問しにやってきま す。一方、私たちのゲストは、何千人もの外国人です。多くの場合、自分たちの国でプロジェクトを始めるために、インスピレーションを得たいとここにやって きます。しかし、より大きいのは、谷で生きるためにここに来ることを決めた個人や家族です。他の国籍の人々の流入は、国際的な文化を値付かせながら、山へ と人生を取戻します。おそらく、これらのすべては、じきにやってくるもっとおもしろそうで新たなプロジェクトを開始する機会になるでしょう・・・

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